「和と輪」

「みなさん、着物や浴衣を一人で着ることできますか?」

「私は着物屋です!」

「君、日本人なのに日本のこと何も知らないよね。」

以前、カナダにホームステイをしていた時に言われた言葉です。この言葉が忘れられず、日本の事をもっと知りたくて着物屋に就職しました。

しかし今、日本の民族衣装でもある着物市場が低迷しています。その原因は着てみたいけれど一人では着ることができない、なんとなく敷居が高そう。成人式の振袖か夏の浴衣くらいしか縁がない。このようなことが挙げられます。

この日本人の着物離れ〝和〟の文化の低迷を救うべく、布の生産地であった調布という街に〝和の心〟を根付かせよう、その先駆者になろうと思い青年部で日々活動しています。

なぜ今〝和の心〟を伝えたいのか。

二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。我が街調布もその開催地の一つです。私は着物を通して〝和の心〟を学んで頂き、〝おもてなし〟の精神を持って調布から世界に日本の美を発信していきたいからです。

〝和の心〟とは「人との繋がりを大事にし、大勢の人の〝輪の中〟でも秩序を保ち思いやりや礼を重んじること」です。

まず、委員長として部員のみんなに着物の魅力を伝えていこう。その想いを仲間に相談し言われたひと言。

「野村さん、まず浴衣着られるようにみんなで練習しない?」

「それだ!」

こうして〝浴衣から始める和の心〟をテーマにした部員セミナーを開催しました。

みんな真剣に先生の言葉に耳を傾け、四苦八苦しながらも何度も着る練習を行いました。浴衣を着た時の不自由な動作から生まれた繊細な所作から、これが日本人として一歩控えた奥深しき姿だということも伝わりました。

慣れない正座からの一礼、使い慣れない日本語、襟を正すという意味。たくさんの事を学びました。

このセミナーをきっかけに次の納涼会では多くの部員が自ら浴衣を購入して一人で着付けて参加したり、花火を見に行ったりと自然と和の魅力が部員の心に根付き始めていました。

この和の心がさらに活かせた事業。それが二〇年ぶりに復活させた青年部一大イベントでもあるミス調布コンテストです。

今年で四年目を迎えるこの事業にはいくつもの苦難がありました。

それはミス調布の活動が復活当初、青年部の事業以外何も出番が決まっていなかったからです。だから私達は原点回帰し、何のためにこの事業を復活させたのか話し合いました。

調布という街をもっと知ってもらいたい、魅力ある街づくりを目指したい。

そんな想いから都会から少し離れた自然豊かな街の魅力、新たに作られた各商業施設の魅力、そして古くから守られてきた文化の魅力をミス調布と共に精一杯発信していきました。

その日々の活動が身を結び成果に繋がり、現在ではミス調布としてだけではなく調布市観光親善大使を務めるまでになりました。

そして、〝和〟の文化にまつわる新春の集いでは振袖を身にまとい沢山の来賓の方々をお出迎えします、節分や着物を着て商店街等の街ぶらり散歩、夏には浴衣を着て花火大会、秋にはお茶会等のイベントにも参加しています。

この秋のお茶会では部員も一緒に着物で参加し慣れない正座、一礼の動作が求められセミナーの経験を十分に生かすことが出来ました。

こういった活動が街の四季を〝和の心〟で彩っています。

今や調布市の顔である観光親善大使を支えることで青年部の事業を拡大させ街の活性化にも繋がっています。

まさに今、調布に新たな風が吹いています。そこで私達は新たな事業構築を目指します。

その第一歩が来年、三五周年を迎える周年記念事業です。

調布市商工会青年部、本年度のテーマ「継続は力なり!」このテーマに沿ってトライです!

それは〝和の心〟を伝え続け、親会・地域と連携し着物を通して『最高のおもてなし』を感じて頂ける事業にすることです。

日本の文化に携わることで〝和〟を身近に感じて頂きたい、そして人との交流のみではなく伝統文化の魅力も再発見して頂きたい。

二月という寒い季節に開催することが決まっています。全員で着物を着てお出迎えをする。足を運んで頂いた皆様に、お抹茶で一息ついて心から「ホッ」と温まって頂く。日本の美を存分に振る舞う。

そんな事業を作り上げていきたい。

そのために今、私達はこれまで学んできた〝和の心〟を持って突き進んでいます。

今でもなぜ「生業に結びつかないのに青年部活動やっているのだろう?」

そんな考え方を持っている人が、もしかしたらいるかもしれません。

青年部入部当初の私も何とか売上に繋げたいと自己の利益追求ばかりしていました。

しかし、そんな事を考えずに本気で事業に取り組むことによりミス調布の衣装、部員による浴衣の購入、親会の方々からの着物の購入により年間売上が二〇%増しとなり、いつの間にか生業へと結びついていました。

今では、率先して着物や浴衣を着て参加してくれる仲間に〝和の心〟がすでに根付いていると自信を持って言えます。

この宝の山となる仲間がいつか私の後押しをしてくれると、今は確信しています。

本気でぶつかれば必ず受け止めて返してくれる仲間がいる。それが青年部です。

仕事や年の差の垣根を越えて、一つになれる。それも青年部です。

和の心から始まった想いは、仲間の心に根付き、次第に大きな人の輪となり、新たな事業を創造する。

だから私達はこれから布を納めていた調布という街に〝和の心〟を納め、事業構築のみならず大切な心も構築していきます。

一+一=(和+輪)・・二(笑顔)この笑顔を大切に青年部一丸となり和の魅力溢れる、そして世界に誇れる街づくりに邁進します!

ご清聴ありがとうございました。